OSPF ネイバーとアジャセンシーの確立の流れや違いを解説【CCNA】

本記事ではネイバーとアジャセンシーについて解説いたします。

ネイバーとアジャセンシーの違い

まずはネイバーとアジャセンシーの違いについて、解説いたします。

ネイバーについて

とはOSPFルータ同士で認識し合っている関係を「ネイバー(Neighbor)」を呼びます。


ネイバー関係ではHelloパケットのやりとりは実施されますが、LSA情報のやりとりは実施されない関係となります。

ネイバー関係

アジャセンシーについて

LSA情報(ネットワーク情報)のやりとりする関係を「アジャセンシー(Adjacency)」と呼びます。

OSPFネットワークではOSPFルータ同士でLSA情報(ネットワーク情報)をやりとりし最適経路をルーティングテーブルへ反映させる仕様の為、原則全てのOSPFルータで「アジャセンシー関係」を確立する必要がございます。

アジャセンシー関係

次章にてネイバーとアジャセンシーの確立への流れについて、解説いたします。

ネイバーとアジャセンシーが確立されるタイミング

OSPFでは以下のような順序で「ネイバーの確立〜アジャセンシーの確立」を実施いたします。

▼ ネイバーの確立〜アジャセンシーの確立の流れ ▼

  1. 初期状態
  2. 隣接ルータの検出【ネイバーの確立】
  3. DR,BDRの選出 ※OSPFのネットワークタイプ次第ではSKIP
  4. LSAの交換開始【アジャセンシーの確立】

その後、LSAの交換〜リンクステートデータベース(LSDB)の同期〜ルーティングテーブルの構築という流れになります。


※本記事ではネイバー・アジャセンシーに焦点を当てて解説しております。
OSPFの状態遷移について、興味のある方は合わせて読んでみてください!



では上記①〜④について、1つずつ解説します。

ステップ①初期状態

「初期状態」とはOSPFの初期起動時(まだHelloパケットの送受信をしていない状態)を指します。
※本状態の事を「Down」状態と呼びます。

ステップ②隣接ルータの検出【ネイバーの確立】

隣接のOSPFルータ同士でHelloパケットを交換し合い、隣接するOSPFルータを検出します。
その後、検出したOSPFルータと「ネイバー関係」を確立し、そのルータ情報をネイバーテーブルへ反映します。

ネイバー関係を確立した状態の事を「2Way」状態と呼びます。

ネイバーテーブルとは
ネイバーテーブルはネイバー関係を確立したOSPFルータリストが保存されているテーブルの事です。
ネイバーテーブルは「show ip ospf neighbor」コマンドで確認可能です。

OSPF-Hello

また、OSPFの設定が実装されているにも関わらずネイバーの確立が出来ない場合は、設定値が誤っている可能性がございます。
ネイバーの確立条件や不具合時の具体的な解決方法について、以下の記事にまとめておりますので興味のある方はご覧下さい。

ステップ③DR,BDR,DROTHERの選出 ※OSPFのネットワークタイプ次第ではSKIP

OSPFでは「ネットワークタイプ」という概念があり、「ネットワークタイプ」によりDR/BDRが選出されるケースとされないケースがございます。
ネットワークタイプの一覧は以下の通りです。

ネットワークタイプDR/BDR有無備考
Broadcast(例)Ethernetインターフェースが該当
NBMA(Non-Broadcast MultiAccess)
Point to Point(例)PPP / Tunnelインターフェースが該当
Point to Multipoint
Point to Multipoint Non-Broadcast

上記の通り、OSPFのネットワークタイプがBroadcastNBMA(Non-Broadcast MultiAccess)の場合はDR,BDRの選定が実施されますが、その他のネットワークケースではDR/BDRの選出は実施されません。


OSPFのネットワークタイプがBroadcastタイプやNBMAタイプの場合はHelloパケットに含まれている「OSPFプライオリティ」の値に基づき、DR,BDRの選出を実施、DR,BDRに選定されなかったルータはDROTHERになります。

ポイント
DROTHERはDR,BDRとのみ「アジャセンシー」を確立し、DROTHER同士は「ネイバー」止まりになります。
つまり、DROTHER同士のルータはLSAの交換しない(アジャセンシーを確立しない仕様)の為、次のステップ「④LSAの交換開始」へ進みません。

DR・BDRの詳細について、興味のある方は合わせて読んでみてください!

ステップ④LSAの交換開始【アジャセンシーの確立】

上記の処理が完了後、LSAを交換し合うOSPFルータ同士で「アジャセンシー」を確立します。
その後、「アジャセンシー関係」を確立したルータ同士でLSAの交換を開始する流れとなります。

OSPFの状態遷移について、興味のある方は合わせて読んでみてください!

まとめ


最後までお読み頂きありがとうございました。
OSPFネットワークを構築する上でネイバーとアジャセンシーを明確に理解しておく事が重要です。ぜひ覚えておきましょう!


網羅的にOSPFの知識を身につけたい方は、以下のまとめ記事をご確認ください!!

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