トータリースタブエリアの設定方法・正常性確認【OSPF 動作検証】

本記事ではトータリースタブエリアの設定及び正常性確認に関する検証結果をご紹介させて頂きます。

【OSPF トータリースタブエリア 検証】検証内容

設定要件及び検証ネットワークは以下の通りです。

ネットワーク図

検証時のネットワーク環境は以下の通りです。

OSPF-スタブエリア-検証

設定要件

以下の要件に基づきOSPFの設定を実装する。

  • R2-R4(エリア1)をトータリースタブエリアにする事
  • R4(Lo0:4.4.4.4)からREX(Lo0:100.100.100.100)へPingが通る事

検証時の確認ポイント

最初に検証時の確認ポイントを整理しておきます。

▼ 本検証の確認ポイント ▼

  1. トータリースタブエリア内に伝搬されるLSAの確認
    ※ Type3,4,5がフィルターされる事
  2. トータリースタブエリア内のルーティングテーブルの確認
    ※ABRでType3のデフォルトルートが自動生成される事

【OSPF トータリースタブエリア 検証】事前確認 ※興味ない方は飛ばしてOKです。

本検証ネットワークのOSPFステータスを以下に纏めております。
興味のない方は「4章:設定変更作業から」をクリックして下さい。

検証前時点の各機器の設定内容やログは以下の通りです。

・「show ip ospf interface brief」コマンドで各OSPFインターフェース情報を出力しております。

・「show ip ospf neighbor」コマンドでネイバー状態を出力しております。
以下の通り、全ルータ間でOSPFネイバーが確立出来ている事が確認できると思います。

・R2とR4「show ip route ospf」コマンドでルーティングテーブルを出力しております。
以下の通り、各OSPF経路・外部経路(非OSPF経路)を受信出来ている事が確認できると思います。

▼ R2のルーティングテーブル▼

▼ R4のルーティングテーブル▼

トータリースタブエリアの設定をした場合、上記「R4のルーティングテーブル」が変わります。
具体的にどのように変わるかを確認していきましょう!

【OSPF トータリースタブエリア 検証】設定変更作業

では、以下にてOSPFの設定を実装していきます。

  1. R2のエリア1をトータリースタブエリアにする
  2. R4のエリア1をスタブエリアにする

【OSPF トータリースタブエリア 検証】正常性確認

では以下の2点について確認してみましょう!

▼ 本検証の確認ポイント ▼

  1. トータリースタブエリア内に伝搬されるLSAの確認
    ※ Type3,4,5がフィルターされる事
  2. トータリースタブエリア内のルーティングテーブルの確認
    ※ABRでType3のデフォルトルートが自動生成される事

【正常性確認①】トータリースタブエリア内に伝搬されるLSAの確認

・トータリースタブエリア内のルータであるR4の設定前後でOSPFデータベースの差分を確認し、LSA Type4,5のLSAがフィルターされている事を確認します。


まずはトータリースタブエリアの設定前のOSPFデータベースを確認します。
以下の通りLSA Type 3〜5を受信しているのが、分かると思います。


▼ 【設定前】R4のOSPFデータベース▼

次にトータリースタブエリアの設定後のOSPFデータベースを確認します。

以下の通りLSA Type 3とLSA Type 4,LSA Type 5がフィルターされている事が分かると思います。
それは「トータリースタブエリア」はLSA Type1~2のみ伝播可能なOSPFの特殊エリアなので、R2(ABR)がLSA Type 3〜5の伝搬を止めているからです。
R2(ABR)ではLSA Type 3〜5の代わりにデフォルトルート(0.0.0.0)をトータリースタブエリア内に伝搬している点も確認しましょう!

※トータリースタブエリアではLSA Type3は伝搬不可ですが、例外としてトータリースタブエリアにする事によりABRが自動生成するLSA Type3のデフォルトルートのみは許可されております。

▼ 【設定後】R4のOSPFデータベース▼

参考までにLSA Type3~5の代わりに生成されたLSA Type3のデフォルトルート(0.0.0.0)を「show ip ospf database summary 0.0.0.0」コマンドで確認してみましょう!

以下の通り、R2(ABR)でデフォルトルートを生成している事がLSA上でも分かると思います。

▼ OSPFデータベース LSA Type3(0.0.0.0)▼

▼ 参考 トータリースタブエリアでのLSA伝搬 ▼

OSPF-トータリースタブエリア

【正常性確認②】トータリースタブエリア内のルーティングテーブルの確認

・R4の設定前後でルーティングテーブルの差分を確認し、どのように変わっているか確認します。
まずはトータリースタブエリアの設定前のルーティングテーブルを確認します。

以下の通りエリア外経路(1.1.1.1/32等)と外部経路(100.100.100.100,192.168.0.0)を受信しているのが、分かると思います。

▼ R4のルーティングテーブル▼

次にトータリースタブエリアの設定後のルーティングテーブルを確認します。

以下の通り元々反映されていたエリア外経路(IA)と外部経路(E2)がルーティングテーブルから消えている事が分かると思います。
それは上記「【正常性確認①】トータリースタブエリア内に伝搬されるLSAの確認」の通り、R2(ABR)でLSA Type 3〜5がフィルターされトータリースタブエリア内にLSA Type3〜5が流れてこないからです。
代わりにR2(ABR)で生成したLSA Type3のデフォルトルート(0.0.0.0)がルーティングテーブルに反映されている事を確認しましょう!

▼ R4のルーティングテーブル▼

最後にR4(Lo0:4.4.4.4)からREX(Lo0:100.100.100.100)へPingが通る事を確認しましょう!

▼ R4のルーティングテーブル▼


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以下の記事ではスタブエリアの検証結果を纏めております。興味のある方はご覧下さい。

まとめ


最後までお読み頂きありがとうございました。
トータリースタブエリアを有効活用する事により、リンクステートデータベースとルーティングテーブルのサイズを削減する事が可能であり、ネットワークを最適化する事が出来ます。ぜひ覚えておきましょう!


網羅的にOSPFの知識を身につけたい方は、以下のまとめ記事をご確認ください!!

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