LSA Type 1とは? 基礎〜LSDBの中身の確認方法を解説【OSPF】

本記事ではLSA Type1(ルータリンク)の内容やリンクステートデータベースの確認方法について、検証結果を交えながら解説いたします。

LSA Type 1(ルータリンク)とは

ルータリンク(Router LSA : LSA Type1)」はエリア内のOSPFルータ同士でOSPFネットワーク情報(IPアドレスやコスト値)やルータ情報(ルータIDやルータ種別情報)を伝搬させる際に使用されます。

「LSA Type1」は全OSPFルータで生成され、自身が所属するエリア内のみに伝搬します。


LSA Type1に関するshowコマンド
CiscoルータにおけるLSA Type1に関するshowコマンドは以下の通りです。

  • show ip ospf database」:リンクステートデータベースの一覧を確認
  • show ip ospf database router」:リンクステートデータベースのLSA Type1の詳細を確認
  • show ip route ospf」:OSPFのルーティングテーブルを確認する
    【補足】LSA Type1で学習した経路は以下の通り「 O 」(内部経路)として学習します。

LSA Type 1でやりとりされる中身の確認(show ip ospf database routerを解説)

次に実機から取得したLSA Type 1のリンクステートデータベースを確認しながら、LSA Type 1でやりとりされる内容を紹介いたします。


以下は「show ip ospf database router」コマンドでルータID「1.1.1.1」の情報を取得しております。
LSA Type 1の各パラメータについてコメント文(黄色文字箇所)で解説しておりますので、気になる点をご確認下さい。

▼ OSPFデータベース情報(Type1) ▼


※本記事の下部「LSA Type 1の検証結果」にてLSA Type1に関する検証結果を纏めておりますので、合わせてご確認頂くことをお勧めします。

LSA Type1の理解度が格段と上がると思います!

LSA Type 1の伝搬範囲

次に以下のネットワーク図をベースにLSA Type1の伝搬について解説いたします

OSPF-TypeLSA1

上記の図の通り、R1から送信されるLSA Type1はエリア0に所属するOSPFルータ(R2・R3)へ伝搬させる事により、R2とR3はR1に関するネットワーク情報を把握する事が出来ます。

また、R2・R3はLSA Type1を他エリアのOSPFルータ(R4・R5)へは伝搬されません。
※R1の経路を他エリアのルータに伝えるのはLSA Type1ではなく、LSA Type3で実現いたします。


▼ 他エリアへの経路伝搬(LSA Type 3)に興味がある方はこちら! ▼

LSA Type 1の検証結果

ではLSA Type 1に関する検証結果を紹介いたします。
検証ネットワーク上での実機のステータス内容を把握して頂くと、LSA Type 1の理解度が向上します!

検証時の確認ポイント

まず最初に、検証時の確認ポイントを整理しておきます。

▼ 本検証の確認ポイント ▼

  1. LSA Type1の伝搬範囲・LSA内容把握
  2. LSA Type1のルーティングテーブル反映

検証ネットワーク

では次に検証ネットワークを紹介いたします。

LSA検証ネットワーク

※本検証ネットワークは既に設定済みです。

【参考】検証ネットワーク情報 ※興味ない方は飛ばしてOKです。

本検証ネットワークのOSPFステータスを以下に纏めております。
興味のある方はご覧下さい。

・「show ip ospf interface brief」コマンドで各OSPFインターフェース情報を出力しております。

・「show ip ospf neighbor」コマンドでネイバー状態を出力しております。
以下の通り、全ルータ間でOSPFネイバーが確立出来ている事が確認できると思います。

正常性確認

では以下の2点について確認してみましょう!

▼ 本検証の確認ポイント ▼

  1. LSA Type1の伝搬範囲・LSA内容把握
  2. LSA Type1のルーティングテーブル反映

【確認ポイント①】LSA Type1の伝搬範囲・LSAの内容把握

ここではR1が生成しているLSA Type1がどのルータまで伝搬されているか、確認しています。


以下にてR1のOSPFデータベースを「show ip ospf database」「show ip ospf database router 1.1.1.1」で出力しております。
以下の通り、「1.1.1.1」のLSA type1が生成されている事が確認出来ます。



▼ R1のOSPFデータベース情報 ▼

▼ R1のOSPFデータベース情報(Type1) ▼


次にR3(ABR)でR1が生成したLSA Type1を受信しているか確認します。


以下にてR3のOSPFデータベースを「show ip ospf database」「show ip ospf database router 1.1.1.1」で出力しております。


R3はR1と同様にエリア0に属している為、以下の通り「1.1.1.1」のLSA type1を受信している事が確認出来ます。
しかし、R3は他エリア(Area2)も属しています。
Area2のOSPFデータベースにはR1が生成したLSA Type1が反映されていない事を確認しましょう。



▼ R3のOSPFデータベース情報▼

▼ R3のOSPFデータベース情報(Type1) ▼

最後に他エリア(エリア)のOSPFルータであるR5でR1が生成したLSA Type1が伝搬されているか、確認します。


以下にてR5のOSPFデータベースを「show ip ospf database」で出力しております。
R5はR1とは異なるエリア(Area2)に属している為、OSPFデータベースにはR1が生成したLSA Type1が反映されていない事を確認しましょう。



▼ R5のOSPFデータベース情報 ▼

上記の検証結果より、LSA Type1は他エリアには伝搬しない事が分かります。

【確認ポイント②】LSA Type1のルーティングテーブル反映

R1のLoopback経路(1.1.1.1)がR2・R3のルーティングテーブルへどのように反映されるか、確認いたします。


以下の通り、R1のLoopback経路(1.1.1.1)は「OSPF内部経路( O )」として反映されている事が確認できます。



▼ R2のルーティングテーブル ▼

▼ R3のルーティングテーブル ▼


▼ 他エリアへの経路伝搬(LSA Type 3)に興味がある方はこちら! ▼

まとめ


最後までお読み頂きありがとうございました。
LSA Type1は非常に分かりにくい部分もありますが、理解しておくとトラブルシューティング時に役立ちます。ぜひ覚えておきましょう!


網羅的にOSPFの知識を身につけたい方は、以下のまとめ記事をご確認ください!!

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