LSA Type 3とは? 基礎〜LSDBの確認方法を解説【OSPF】

本記事ではLSA Type3(サマリーリンク)の内容やリンクステートデータベースの確認方法について、検証結果を交えながら解説いたします。

既にLSA Type3に関する知識がある方は、本記事内の「LSA Type 3の検証結果」からご覧頂く事を推奨します。

LSA Type 3(サマリーリンク)とは

サマリーリンク(Network Summary LSA : LSA Type3)」は他エリアのネットワーク情報(ネットワークアドレス・サブネットマスク・コスト値など)を伝搬させる際に使用されます。

「LSA Type3」はABR(Area Border Router)で生成され、トータリースタブエリアを除く全エリアへ伝搬します。
※ABRがエリア内経路(LSA Type1)をLSA Type3に情報を集約させ、他エリアのOSPFルータへ伝搬させます。


LSA Type3に関するshowコマンド
CiscoルータにおけるLSA Type3に関するshowコマンドは以下の通りです。

  • show ip ospf database」:リンクステートデータベースの一覧を確認
  • show ip ospf database summary」:リンクステートデータベースのLSA Type3の詳細を確認
  • show ip route ospf」:OSPFのルーティングテーブルを確認する
    【補足】LSA Type3で学習した経路は以下の通り「 O IA 」(エリア外経路)として学習します。

LSA Type 3でやりとりされる内容(show ip ospf database summaryを解説)

次に実機から取得したLSA Type 3のリンクステートデータベースを確認しながら、LSA Type 3でやりとりされる内容を紹介いたします。


以下は「show ip ospf database summary」コマンドでネットワーク経路「1.1.1.1」の情報を取得しております。
LSA Type 3の各パラメータについてコメント文(黄色文字箇所)で解説しておりますので、気になる点をご確認下さい。

▼ OSPFデータベース情報(Type3) ▼


※本記事の下部「LSA Type 3の検証結果」にてLSA Type3に関する検証結果を纏めておりますので、合わせてご確認頂くことをお勧めします。

LSA Type3の理解度が格段と上がると思います!

LSA Type 3の伝搬範囲

次に以下のネットワーク図をベースにLSA Type3の伝搬について解説いたします。

OSPF-TypeLSA3

上記の図の通り、R2とR3(ABR)ではR1から受信したLSA Type1(エリア内経路情報)をエリア外(エリア1・エリア2)へ伝える為に、「LSA Type1からLSA Type3へ変換」します。

その後、R4とR5(他エリアのOSPFルータ)へ伝搬させる事により、R4とR5はエリア外のネットワーク情報(エリア0のネットワーク情報)を把握する事が出来ます。


ポイント
LSA Type1 と LSA Type3 では情報量に大きな差があります。

LSA Type1はエリア内のネットワーク情報をエリア内ルータ同士で細かく把握するために、様々な情報がやり取りされております。
反面、LSA Type3はエリア外経路である為、ルーティングに必要な最低限の情報(ネットワークアドレス・サブネットマスク・コスト)のみやり取りする仕様になっております。

LSA Type 3の検証結果

ではLSA Type 3に関する検証結果を紹介いたします。
検証ネットワーク上での実機のステータス内容を把握して頂くと、LSA Type 3の理解度が向上します!

検証時の確認ポイント

まず最初に、検証時の確認ポイントを整理しておきます。

▼ 本検証の確認ポイント ▼

  1. LSA Type1からLSA Type3への変換・LSA内容把握
  2. LSA Type3のルーティングテーブル反映

検証ネットワーク

では次に検証ネットワークを紹介いたします。

LSA検証ネットワーク

※本検証ネットワークは既に設定済みです。

【参考】検証ネットワーク情報 ※興味ない方は飛ばしてOKです。

本検証ネットワークのOSPFステータスを以下に纏めております。
興味のある方はご覧下さい。

・「show ip ospf interface brief」コマンドで各OSPFインターフェース情報を出力しております。

・「show ip ospf neighbor」コマンドでネイバー状態を出力しております。
以下の通り、全ルータ間でOSPFネイバーが確立出来ている事が確認できると思います。

正常性確認

では以下の2点について確認してみましょう!

▼ 本検証の確認ポイント ▼

  1. LSA Type1からLSA Type3への変換・LSA内容把握
  2. LSA Type3のルーティングテーブル反映

【確認ポイント①】LSA Type1からLSA Type3への変換・LSA内容把握

ここではR1が生成しているLSA Type1がABRであるR3でどのようにLSA Type3へ変換されるか、確認します。


以下にてR1のOSPFデータベースを「show ip ospf database」「show ip ospf database router 1.1.1.1」で出力しております。
以下の通り、「1.1.1.1」のLSA type1が生成されている事が確認出来ます。



▼ R1のOSPFデータベース情報 ▼

▼ R1のOSPFデータベース情報(Type1) ▼


次にR3(ABR)でR1が生成したLSA Type1を受信しているか確認します。


以下にてR3のOSPFデータベースを「show ip ospf database」で出力しております。


R3はR1と同様にエリア0に属している為、以下の通り「1.1.1.1」のLSA type1を受信している事が確認出来ます。
しかし、R3はエリア2(他エリア)のOSPFデータベースにはLSA type1ではなく、LSA type3へ変換し反映されている事を確認しましょう!



▼ R3のOSPFデータベース情報 ▼


では上記のLSAの詳細を確認してみましょう。


以下にてR3のOSPFデータベースを「show ip ospf database router 1.1.1.1」「show ip ospf database summary 1.1.1.1」で出力しております。



▼ R3のOSPFデータベース情報(Type1) ▼

▼ R3のOSPFデータベース情報(Type3) ▼
※ここでは例として1.1.1.1経路のみ確認します。


showコマンドの出力結果の通り、
R3(ABR)にてLSA-Type 1から LSA-Type 3へコピーされている事が分かります。

・LSA type 1の「Network/subnet number」がLSA type 3の「Link State ID
・LSA type 1の「Network Mask」がLSA type 3の「Network Mask
・LSA type 1の「Metrics」がLSA type 3の「Metric
※補足:Metric(コスト値)は「1」から「11」へ増えております。これはR1-R3間のコスト値(10)が加算されているからです。

最後にエリア2のR5でR3が生成したLSA Type3が伝搬されているか、確認します。


以下にてR1のOSPFデータベースを「show ip ospf database」で出力しております。
R5のOSPFデータベースにはR3が生成したLSA Type3が反映されている事を確認しましょう。

上記の検証結果より、エリア外経路はABRにてLSA Type1をLSA Type3へ変換し、他エリアへ伝搬する事が分かります。

【確認ポイント②】LSA Type3のルーティングテーブル反映

R1のLoopback経路(1.1.1.1)がR3・R5のルーティングテーブルへどのように反映されるか、確認いたします。


以下の通り、R1のLoopback経路(1.1.1.1)はR3では「OSPF内部経路( O )」として、R5では「OSPFエリア外経路( O IA )」として反映されている事が確認出来ます。



▼ R3のルーティングテーブル情報 ▼

▼ R5のルーティングテーブル情報 ▼


まとめ

いかがでしたでしょうか?

LSA Type3は非常に分かりにくい部分もありますが、理解しておくとトラブルシューティング時に役立ちます。ぜひ覚えておきましょう!


興味のある方は合わせて読んでみてください!