本記事ではOSPFの特殊エリア(スタブエリア・トータリースタブエリア)について解説いたします。
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スタブエリアとは
「スタブエリア(Stub Area)」は非OSPF経路をフィルターする事により、リンクステートデータベース(LSDB)やルーティングテーブルのサイズを削減する事が出来るOSPFの特殊エリアです。
※「スタブエリア」内はLSA Type1~3のみ伝播可能なOSPFの特殊エリアです。
「スタブエリア」はASRにてLSA Type5(AS外部リンク)をフィルターし、代わりにデフォルトルート(0.0.0.0)をスタブエリア内に伝搬させる事により、リンクステートデータベースとルーティングテーブルのサイズを削減する事が可能です。
では以下のネットワーク図(R2-R4がスタブエリア)をベースにLSAの伝搬について解説いたします。
【上記の図 非OSPFネットワークの経路伝播(192.168.0.0/24)】
上記の図の通り、ASBR(R5)にて非OSPFネットワークの経路をOSPFネットワークへ再配布いたします。
R5では非OSPFネットワークの経路情報をLSA Type5にてR5→R3→R1→R2の順で伝搬させる事により、R1・R2・R3は非OSPFネットワークの経路情報を把握する事が出来ます。
しかし、R2-R4はスタブエリアでありLSA Type5を伝搬させる事が出来ない為、「LSA Type5の代わりにLSA Type3(デフォルトルート)」を広報する事により非OSPFネットワーク(192.168.0.0/24)への到達性を確保いたします。
【上記の図 OSPFネットワークの経路伝播(5.5.5.5/32)】
上記の図の通り、ASBR(R5)にてOSPFネットワークの経路をLSA Type1にてR3へ伝搬させます。
そのLSA Type1を受信したR3では「LSA Type1からLSA Type3へ変換」し、他エリアのOSPFルータ(R1・R2・R4)へ伝搬させる事により、R1・R2・R3・R4はOSPFネットワーク(5.5.5.5/32)への到達性を確保いたします。
※スタブエリアでは他エリアのOSPF経路(LSA Type3)を伝搬させる事が可能です。
スタブエリア内ではASBR(AS Border Router)を配置する事が出来ません。
※ASBRを配置する必要がある場合はスタブエリアではなく「NSSA(Not-So-Stubby Area)」にすれば、配置可能です。
スタブエリアの設定方法と正常性確認方法(LSDBの解析等)について動作検証結果を纏めております。初心者の方にも分かるように纏めておりますでCCNA・CCNPを目指している方はぜひご覧下さい!
トータリースタブエリアとは
「トータリースタブエリア(Totally Stub Area)」は非OSPF経路とOSPFエリア間経路をフィルターする事により、リンクステートデータベース(LSDB)やルーティングテーブルのサイズを削減する事が出来るOSPFの特殊エリアです。
※「トータリースタブエリア」はスタブエリアの機能に「OSPFエリア間経路のフィルター」を追加したシスコ独自の機能であり、トータリースタブエリア内はLSA Type1~2とType3(デフォルトルート限定)のみ伝播可能なOSPFの特殊エリアです。
「トータリースタブエリア」はASRにてLSA Type5(AS外部リンク)とLSA Type3(サマリーリンク)をフィルターし、代わりにデフォルトルート(0.0.0.0)をスタブエリア内に伝搬させる事により、リンクステートデータベースとルーティングテーブルのサイズを削減する事が可能です。
では以下のネットワーク図(R2-R4がトータリースタブエリア)をベースにLSAの伝搬について解説いたします。
【上記の図 非OSPFネットワークの経路伝播(192.168.0.0/24)】
上記の図の通り、ASBR(R5)にて非OSPFネットワークの経路をOSPFネットワークへ再配布いたします。
R5では非OSPFネットワークの経路情報をLSA Type5にてR5→R3→R1→R2の順で伝搬させる事により、R1・R2・R3は非OSPFネットワークの経路情報を把握する事が出来ます。
しかし、R2-R4はトータリースタブエリアでありLSA Type5を伝搬させる事が出来ない為、「LSA Type5の代わりにLSA Type3(デフォルトルート)」を広報する事により非OSPFネットワーク(192.168.0.0/24)への到達性を確保いたします。
【上記の図 OSPFネットワークの経路伝播(5.5.5.5/32)】
上記の図の通り、ASBR(R5)にてOSPFネットワークの経路をLSA Type1にてR3へ伝搬させます。
そのLSA Type1を受信したR3では「LSA Type1からLSA Type3へ変換」し、R4を除く他エリアのOSPFルータ(R1・R2)へ伝搬させる事により、R1・R2・R3はOSPFネットワーク(5.5.5.5/32)への到達性を確保いたします。
しかし、R2-R4はトータリースタブエリアでありLSA Type3を伝搬させる事が出来ない為、「LSA Type3の代わりにLSA Type3(デフォルトルート)」を広報する事によりOSPFネットワーク(5.5.5.5/32)への到達性を確保いたします。
※トータリースタブエリアはスタブエリアと違い、他エリアのOSPF経路(LSA Type3)を伝搬させる事が出来ません。
トータリースタブエリアはスタブエリアと同様に、ASBR(AS Border Router)を配置する事が出来ません。
※ASBRを配置する必要がある場合はスタブエリアではなく「NSSA(Not-So-Stubby Area)」にすれば、配置可能です。
トータリースタブエリアの設定方法と正常性確認方法(LSDBの解析等)について動作検証結果を纏めております。初心者の方にも分かるように纏めておりますでCCNA・CCNPを目指している方はぜひご覧下さい!
スタブエリア・トータリースタブエリアの設定方法
では、スタブエリア・トータリースタブエリアの設定方法を紹介いたします。
スタブエリアの設定方法
スタブエリアの設定方法は以下の通りです。
Router(config)# router ospf [プロセス番号]
Router(config-router)# area [エリア番号] stub
※スタブエリア内の全ルータで上記の設定が必須になります。
トータリースタブエリアの設定方法
トータリースタブエリアの設定方法は「ABR」と「エリア内ルータ」で設定変更が異なります。
・ABRの設定は以下の通りです。
Router(config)# router ospf [プロセス番号]
Router(config-router)# area [エリア番号] stub no-summary
・トータリースタブエリア内のルータ設定は以下の通りです。
Router(config)# router ospf [プロセス番号]
Router(config-router)# area [エリア番号] stub
※上記の通りABRには「stub no-summaryオプション」を有効化にし、エリア内ルータには「stubオプション」を有効化する必要がございます。
まとめ
最後までお読み頂きありがとうございました。
スタブエリア・トータリースタブエリアを実装するとリンクステートデータベースとルーティングテーブルのサイズを削減する事が可能であり、ネットワークを最適化する事が出来ます。ぜひ覚えておきましょう!
網羅的にOSPFの知識を身につけたい方は、以下のまとめ記事をご確認ください!!
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