OSPF コストの計算式や経路選択、設定、コスト加算のタイミングを解説【CCNA】

本記事ではOSPFコストの計算やコスト加算の仕様について、解説いたします。

OSPF コストについて

まず最初に「コスト」について解説いたします。


コストとはOSPFのメトリックの事を指します。
OSPFネットワーク内で宛先経路への通信経路が複数ある場合は最小コスト値を持つ経路が最適経路として扱います。

補足
メトリックとは最適経路を判断する際に使用する「経路選択の判断基準」の事です。

次章ではコストがどのような計算式で算出されるか、解説いたします。

OSPF コストの計算式について

コスト値は以下の計算式に基づき、算出されます。

OSPFのコスト計算

▼計算例▼

例えばインターフェースの帯域幅が「10Mbps」の場合は、コスト値は「10(100Mbps ÷ 10Mbps = 10)」となり、インターフェースの帯域幅が「100Mbps」の場合は、コスト値は「1(100Mbps ÷ 100Mbps = 1)」となります。


コストは上記のような計算式で算出されますが、設定変更にて明示的に値を変更する事が可能です。
※具体的な設定変更方法については、本記事の下部にて紹介いたします。

では次章では「コストの加算仕様について」解説いたします。

OSPF コストの加算仕様と経路選択について

OSPFのコスト値は「経路情報を受信するインターフェースのコスト値」を加算します。


では以下の図にて、R1のLAN経路情報(192.168.10.0/24)がR4へどのように伝搬されるか解説いたします。

コストの加算仕様(1)

①以下の図の通り、R1は192.168.10.0/24のLAN側インターフェースのコスト値(10)を加算します。

コストの加算仕様(2)

②以下の図の通り、R2・R3はR1向けの経路の受信インターフェースのコスト値(10)を加算します。
【この時点でコスト値は20になります。】

コストの加算仕様(3)

③以下の図の通り、R4では経路の受信インターフェースのコスト値(R2側は10、R3側は1)を加算します。

コストの加算仕様(4)

最終的にR4では2経路「R2経由の経路(コスト値:30)とR3経由の経路(コスト値:21)」受信し、コスト値が小さいR3経由の通信経路を最適経路として判断します。
※R3経由の通信経路で通信障害が発生した場合は、自動的にR2経由の経路へ切り替わります。



上記のようにOSPFのコスト値は「経路情報を受信するインターフェースのコスト値」を加算する事により、通信経路を制御する事が可能です。
実務でも必要な知識になりますので、ぜひ覚えておきましょう!


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以下の記事にて検証結果を纏めておりますので、興味のある方は合わせて読んでみてください!

では最後に「コスト値の設定方法」について紹介します。

OSPF コスト値の設定方法

コスト値の設定変更方法は以下の3通りございます。

▼コスト値の設定変更▼

  1. ip ospf costコマンドでコスト値を変更
  2. bandwidthコマンドで帯域幅を変更
  3. auto-cost reference-bandwidthコマンドでコスト計算式の分子値を変更

ポイント
実務では「①ip ospf costコマンドでコスト値を変更」で設定変更するのは一般的です!

では上記①〜③の詳細について、1つずつ解説します。

【コスト 変更方法①】ip ospf costでコスト値を変更

【設定コマンド】
Router(config)# interface [インターフェース名&番号]
Router(config-if)# ip ospf cost [コスト値]

【コスト 変更方法②】bandwidthコマンドで帯域幅を変更

【設定コマンド】
Router(config)# interface [インターフェース名&番号]
Router(config-if)# bandwidth [帯域幅]

【コスト 変更方法③】コスト計算式の分子値を変更

【設定コマンド】
Router(config)# router ospf [OSPF プロセス番号]
Router(config-if)# auto-cost reference-bandwidth [帯域幅]

まとめ

最後までお読み頂きましてありがとうございます。


OSPFネットワークを構築する上で「コスト」での経路制御方法は理解しておく必要がございます。
ぜひ覚えておきましょう!


興味のある方は合わせて読んでみてください!