本記事ではSTPの拡張システムID(spanning-tree extend system-id)について解説いたします。
>>参考記事: 「STPの基本〜応用まで!STPの仕様と検証結果の記事をまとめました!」
拡張システムID(spanning-tree extend system-id)とは
まずは「拡張システムID(spanning-tree extend system-id)」について解説いたします。
まず以下の図にて「通常時のブリッジID構成」と「拡張システムID 有効時のブリッジID 構成」を確認してみましょう。
上記の通り拡張システムID(spanning-tree extend system-id)を有効化すると、元々ブリッジプライオリティとして利用されていたフィールド(16bit)が4bitに縮小し、代わりに「拡張システムID(12bit)」が加わっている事が確認出来ると思います。
※拡張システムID(12bit)はVLAN IDの値が挿入されます。
【補足】 拡張システムID有効時のブリッジプライオリティ値の制約
では、拡張システムID有効時の「ブリッジプライオリティ値の制約」について、解説いたします。
拡張システムIDを有効化するとブリッジプライオリティは先頭2bitでしか表現出来なくなりますので、ブリッジプライオリティは4096の倍数でしか設定する事ができなくなります。
▼ 拡張システムIDの有効化確認 ▼
1 2 | SW1(config)#do show running-config | inc spanning-tree extend spanning-tree extend system-id // ← 拡張システムIDが有効化になっている事を意味します。 |
▼ 例:拡張システムIDの有効化時に登録可能なブリッジプライオリティ値▼
1 2 3 4 5 6 7 8 | SW1(config)#spanning-tree vlan 5 priority 1 // ↓↓↓↓ 以下の通り4096の倍数した設定できないという警告メッセージが出力 % Bridge Priority must be in increments of 4096. % Allowed values are: 0 4096 8192 12288 16384 20480 24576 28672 32768 36864 40960 45056 49152 53248 57344 61440 |
では、次章にて拡張システムID値の確認方法について解説いたします。
拡張システムID(spanning-tree extend system-id)の確認コマンド
拡張システムIDの値は「show spanning-tree コマンドのBridge ID Priority(sys-id-ext)で確認する事が可能」です。
では、以下のサンプルを用いて詳細を解説いたします。
▼ 例: SW1のshow spanning-tree コマンドの結果 (VLAN5)▼
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 | SW1#show spanning-tree vlan 5 VLAN0005 Spanning tree enabled protocol ieee Root ID Priority 8197 Address xxxx.xxxx.3333 Cost 100 Port 1 (Ethernet0/0) Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID Priority 32773 (priority 32768 sys-id-ext 5) // ← ブリッジプライオリティ(32768) + 拡張システムID(5)[VLAN番号]を意味します。 Address xxxx.xxxx.1111 Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Aging Time 15sec Interface Role Sts Cost Prio.Nbr Type ——————- —- — ——— ——– ——————————– Et0/0 Root FWD 100 128.1 Shr Et0/1 Desg FWD 100 128.2 Shr Et0/2 Desg FWD 100 128.3 Shr Et0/3 Desg FWD 100 128.4 Shr |
では、上記サンプルにて「拡張システムIDの値」を確認していきましょう!
まずは「Bridge ID Priority 32773 (priority 32768 sys-id-ext 5)」を注目してみて下さい。
本サンプルのスイッチではブリッジプライオリティが32768、VLAN IDは5で設定しております。
従いまして、拡張システムIDの値は5(VLAN IDと同値)になります。
拡張システムID(spanning-tree extend system-id)の設定方法
では、最後に拡張システムIDの設定方法は以下の通りです。
拡張システムIDの有効化設定
拡張システムIDを有効化する場合は「spanning-tree extend system-idコマンド」で設定する事が可能です。
【設定コマンド】
SW(config)# spanning-tree extend system-id
※Cisco機器ではデフォルトで有効化されております。
拡張システムIDの無効化設定
拡張システムIDを無効化する場合は「no spanning-tree extend system-idコマンド」で設定する事が可能です。
【設定コマンド】
SW(config)# no spanning-tree extend system-id
※機種により無効化できない場合がございます。無効化する際は事前に検証して頂く事をオススメします。
まとめ
最後までお読み頂きましてありがとうございます。
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