LSA Type 4とは? 基礎〜LSDBの中身の確認方法を解説【OSPF】

本記事ではLSA Type4(ASBRサマリーリンク)の内容やリンクステートデータベースの確認方法について、検証結果を交えながら解説いたします。

LSA Type 4(ASBRサマリーリンク)とは

ASBRサマリーリンク(ASBR Summary LSA : LSA Type4)」はASBRのネットワーク情報(ネットワークアドレス・ASBRまでのコスト値など)を伝搬させる際に使用されます。

「LSA Type4」はABR(Area Border Router)で生成され、トータリースタブエリアを除く全エリアへ伝搬します。


LSA Type4に関するshowコマンド
CiscoルータにおけるLSA Type4に関するshowコマンドは以下の通りです。

  • show ip ospf database」:リンクステートデータベースの一覧を確認
  • show ip ospf database asbr-summary」:リンクステートデータベースのLSA Type4の詳細を確認

LSA Type 4でやりとりされる中身の確認(show ip ospf database asbr-summaryを解説)

次に実機から取得したLSA Type 4のリンクステートデータベースを確認しながら、LSA Type 4でやりとりされる内容を紹介いたします。


以下は「show ip ospf database asbr-summary」コマンドでルータID「5.5.5.5」の情報を取得しております。
LSA Type 4の各パラメータについてコメント文(黄色文字箇所)で解説しておりますので、気になる点をご確認下さい。

▼ OSPFデータベース情報(Type4) ▼


※本記事の下部「LSA Type 4の検証結果」にてLSA Type4に関する検証結果を纏めておりますので、合わせてご確認頂くことをお勧めします。

LSA Type4の理解度が格段と上がると思います!

LSA Type 4の伝搬範囲

次に以下のネットワーク図をベースにLSA Type4の伝搬について解説いたします。

OSPF-TypeLSA4

上記の図の通り、ASBR(R5)では非OSPFネットワークの経路をOSPFネットワークへ再配布いたします。
その際、R5は自身がASBRである事を隣接ルータへ伝える為に、LSA Type1の「Eフラグ」に1をセットしR3へ広報します。


そのLSA Type1を受信したASRのR3は「LSA Type1 を LSA Type4」へ変換しOSPFネットワークヘ伝搬させる事により、全OSPFルータがR5のASBR情報を把握する事が出来ます。


LSA Type 4の検証結果

ではLSA Type 4に関する検証結果を紹介いたします。
検証ネットワーク上での実機のステータス内容を把握して頂くと、LSA Type 4の理解度が向上します!

検証時の確認ポイント

まず最初に、検証時の確認ポイントを整理しておきます。

▼ 本検証の確認ポイント ▼

  1. LSA Type1からLSA Type4への変換・LSA内容把握
  2. LSA Type4の伝搬範囲

検証ネットワーク

では次に検証ネットワークを紹介いたします。

LSA検証ネットワーク

※本検証ネットワークは既に設定済みです。

【参考】検証ネットワーク情報 ※興味ない方は飛ばしてOKです。

本検証ネットワークのOSPFステータスを以下に纏めております。
興味のある方はご覧下さい。

・「show ip ospf interface brief」コマンドで各OSPFインターフェース情報を出力しております。

・「show ip ospf neighbor」コマンドでネイバー状態を出力しております。
以下の通り、全ルータ間でOSPFネイバーが確立出来ている事が確認できると思います。

正常性確認

では以下の2点について確認してみましょう!

▼ 本検証の確認ポイント ▼

  1. LSA Type1からLSA Type4への変換・LSA内容把握
  2. LSA Type4の伝搬範囲

【確認ポイント①】LSA Type1からLSA Type4への変換・LSA内容把握

ここではR5が生成しているLSA Type1がR3(ABR)でどのようにLSA Type4へ変換されるか、順を追って確認します。


まずは以下にてR3のOSPFデータベースを「show ip ospf database」「show ip ospf database router 1.1.1.1」で出力しております。
以下の通り、R5からLSA type1を受信している事が確認出来ます。



▼ R3のOSPFデータベース情報 ▼

▼ R3のOSPFデータベース情報(type1) ▼


次にR3(ABR)でLSA Type1をどのようにLSA Type4へ変換されるか、確認します。


以下にてR3のOSPFデータベースを「show ip ospf database」で出力しております。


R3でR5(ASBR)より受領したLSA type1をLSA type4へ変換し反映されている事を確認しましょう!



▼ R3のOSPFデータベース情報 ▼


では上記のLSAの詳細を確認してみましょう。


以下にてR3のOSPFデータベースを「show ip ospf database router 5.5.5.5」「show ip ospf database asbr-summary 5.5.5.5」で出力しております。

▼ R3のOSPFデータベース情報(type1) ▼

▼ R3のOSPFデータベース情報(type4) ▼


showコマンドの出力結果の通り、
R3(ABR)にてLSA-Type 1の情報がLSA-Type 4へコピーされている事が分かります。

・LSA type 1の「Link State ID」がLSA type 4の「Link State ID

【確認ポイント②】LSA Type4の伝搬範囲

ではR3(ABR)で生成したLSA Type4がR1→R2→R4で伝搬されるか、確認いたします。


以下の通り、R1・R2・R4でLSA Type4を受信している事が確認出来ます。

▼ R1のOSPFデータベース情報 ▼

▼ R2のOSPFデータベース情報 ▼

▼ R4のOSPFデータベース情報 ▼


上記の結果の通り、R1・R2・R4でLSA Type4(R5 5.5.5.5)を受信している事が分かります。

まとめ


最後までお読み頂きありがとうございました。
LSA Type4は非常に分かりにくい部分もありますが、理解しておくとトラブルシューティング時に役立ちます。ぜひ覚えておきましょう!


網羅的にOSPFの知識を身につけたい方は、以下のまとめ記事をご確認ください!!

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