本記事ではOSPFのエリア関連(エリア分割の必要性・エリアの特徴)について解説いたします。
>>参考記事: 「CCIEが語る!ネットワークエンジニアにオススメな本・参考書!」
>>参考記事: 「[まとめ] OSPF 基礎〜応用・検証結果の記事をまとめました!」
OSPFのエリア分割・分断の必要性
OSPFでは「SPF(Shortest Path First)アルゴリズム」を用いて、各OSPFルータにて詳細のネットワークトポロジー情報(詳細の地図情報)を把握し、最適経路を選定するルーティングプロトコルです。
従って、ネットワーク規模が大きくなるとSPF計算の対象規模が広範囲になる為、CPUやメモリへの負荷が増大する特徴がございます。
上記のような問題点を解消する為に、OSPFでは「エリア」という概念がございます。
具体的にはOSPFネットワークを複数のエリアに分割し、各OSPFルータは自身が所属しているエリア内のネットワークトポロジー情報(詳細の地図情報)のみを把握する事により、SPF計算の範囲を限定しCPUやメモリへの負荷を軽減する事が可能です。
- リンクステートデータベース(LSDB)サイズの減少させる事が可能
- CPUやメモリの負荷を軽減させる事が可能
- 経路情報のフィルターや経路集約を容易に設定可能
エリア内の経路情報はネットワークトポロジー情報(詳細の地図情報)把握する事により、到達性を確保します。
エリア外の経路情報は要約された経路情報のみを受領する事により、到達性を確保します。
では、次章にてエリアの種類について解説いたします。
エリアの種類とタイプ(バックボーンエリアと標準エリア)
OSPFのエリアには複数の種類がございます。
- バックボーンエリア(エリア0)OSPFネットワークの中でコアとなるエリア。
各エリアは「バックボーンエリア」に接続する必要がある。 - 標準エリアバックボーンエリア以外のエリア。
上記の通り、標準エリアは必ずバックボーンエリア(エリア0)に接続する必要があるので、ネットワーク設計時は考慮してみてください。
※何かしらの理由によりバックボーンエリア(エリア0)に接続出来ない場合は、OSPFの「バーチャルリンク(virtual-link)」という仮想リンク機能を活用する事で解決可能です。
バーチャルリンクは利用する事により、仮想的にバックボーンエリア(エリア0)に接続する事が可能です。
エリアには上記以外に4つの特殊エリア(スタブエリア・トータリースタブエリア・NSSA・トータリーNSSA)がございます。
前述のエリア仕様の詳細・各LSAの伝搬仕様に関する記事を以下に纏めておりますので、ご興味のある方はご覧ください!
スタブエリア・トータリースタブエリアの特徴や伝搬可能なLSA、設定方法などについて図解を含めながら初心者にも分かりやすく解説しております。CCNA,CCNPを目指している方やネットワークエンジニアの方はぜひご覧下さい。
NSSA・トータリーNSSAの特徴や伝搬可能なLSA、設定方法などについて図解を含めながら初心者にも分かりやすく解説しております。CCNA,CCNPを目指している方やネットワークエンジニアの方はぜひご覧下さい。
OSPFのルータ種類(ABRとASBR)
OSPFのマルチエリア構成では以下の2種類のルータタイプがございます。
- ABR(Area Border Router)エリアの境界ルータの事。ABRでは所属する全てのエリアのリンクステートデータベースを保持します。
※ABRにてエリア間集約や経路フィルターを実装する事が可能です。 - ASBR(AS Boundary Router)非OSPFネットワークと接続するASの境界ルータの事。
※ASBRにて経路の再配送や経路フィルターを実装する事が可能です。
各ルータタイプは以下のようなイメージです。
では最後にエリアの設定方法について紹介します。
OSPF エリアの設定方法
OSPFエリアの設定方法は以下の2通りございます。
- グローバルで設定する方法(router ospf コマンド配下)
- インターフェース単位で設定する方法(ip ospf コマンド)
では上記①〜②の詳細について、1つずつ解説します。
【OSPFエリア 変更方法①】グローバルで設定する方法(router ospf コマンド配下)
Router(config)# router ospf [OSPF プロセス番号]
Router(config-if)# network [ネットワークアドレス] [ワイルドマスク] area [エリア番号]
【OSPFエリア 変更方法②】インターフェース単位で設定する方法(ip ospf コマンド)
Router(config)# interface [インターフェース名&番号]
Router(config-if)# ip ospf [OSPF プロセス番号] area [エリア番号]
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ルータIDの重複時の挙動と解決方法について、ぜひ覚えておきましょう!
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