みなさんは「ITエンジニア」と聞いて、どのような仕事をイメージされるでしょうか?
実はITエンジニアには様々な職種があり、それぞれ求められる・身につく能力・技術が大きく異なります。
また、あなたがどの職種を選択するか次第で、今後のあなたの人生やキャリアプランが大きく異なってきます。
従って、予めそれぞれの職種の特徴・求められる能力を理解しておく事が重要です。
本記事ではITエンジニアを3種類「法人向けITエンジニア・自社ITエンジニア・メーカ系ITエンジニア」に分類し、各ITエンジニアの職種・求められる能力について紹介いたします。
【ITエンジニアの種類①】法人向けITエンジニア
「法人向けITエンジニア」とは法人様向けのITインフラのコンサルティング・提案・設計・構築・運用・保守を担当しているエンジニアです。
IT業界ではSler(System Integrator)を呼ばれております。
日本のSlerの特徴としてはコンサルティング・提案・設計フェーズの上流工程は大手Slerや大手通信事業者が担当する事が多く、構築・運用・保守などの下流工程は下請会社が担当する事が多い事が特徴です。
多くのITインフラに関わる事が出来る為、提案・設計・構築スキル能力を伸ばす事が最大のメリットです。また、ITスキル以外にも他社との折衝能力・ドキュメント作成能力を身につける事が出来、転職しやすい傾向がございます。
デメリットとしてはお客様の都合により時間的に制約を受けやすいの為、プライベートのスケジューリングが難しい事です。
では、法人向けITエンジニアにはどのような職種があるかご紹介いたします。
- ITコンサルタント
- プロジェクトマネージャ
- 設計/構築エンジニア
- 保守/運用エンジニア
上記①〜②の職種の特徴や必要な能力について、以下にて紹介いたします。
【法人向けITエンジニア】① ITコンサルタント
「ITコンサルタント」とはお客様が抱えている経営課題をITの力を活用して改善提案・助言をするITエンジニアです。
担当フェーズとしてはコンサルティング領域を担当し、4つの職種の中でも高給になりやすい傾向がございます。
また、ITコンサルタントはお客様のマネージメント層と直接やりとりするケースも多い為、マネージメント層向けの資料作成能力やコミュニケーション能力が必要です。
また、ITコンサルタントは以下の能力が必要とされる職種です。
- お客様業界に関する知識
- 幅広いITに関する知識
- 資料作成能力
- 高度なコミュニケーション能力(問題解決能力/論理的思考/プレゼンテーション能力/交渉力等)
上記のような特徴がある為、ITコンサルタントはよりお客様の立場に立ち仕事をする事が出来る為、お客様目線で仕事をしたいという方には非常に向いている職種です。
逆に技術を極めたいと思っている人・人と話す事が苦手な人がITコンサルタントになると苦労する可能性が高いです。
【法人向けITエンジニア】② プロジェクトマネージャ
「プロジェクトマネージャ」はお客様が求めているITインフラ(成果物)を期日までに納品する為にプロジェクトチームの推進業務を担当します。
プロジェクトマネージャはプロジェクトの責任者であり、給与も高い傾向がございます。
また、プロジェクトマネージャーはプロジェクト全体の意思決定・予算管理・進捗管理・課題管理・リスク管理・品質管理・人員管理など実施し、プロジェクトを成功に導くミッションがある為、様々な能力が必要とされる職業です。
プロジェクトマネージャとして必要とされる能力は以下の通りです。
- プロジェクト管理能力(スケジュール管理/人員管理/課題管理/リスク管理等)
- 幅広いITに関する知識
- 顧客思考
- 高度なコミュニケーション能力(問題解決能力/論理的思考/プレゼンテーション能力/交渉力等)
プロジェクトマネージャはプロジェクト中に発生する多くの問題に対処する必要がございます。
時にはクライアントからの無理な要望に対して上手く駆け引きしたり、プロジェクトメンバーに頼みにくいタスクを上手くお願いする等、技術力以外にも非常に幅広い能力が必要になります。
その為、強いリーダシップを身に付けたい方やプロジェクト管理能力を向上させたい方には最適な職種です。
逆に、人と話す事が苦手な人は苦労する可能性が高いです。
【法人向けITエンジニア】③ 設計/構築エンジニア
「設計/構築エンジニア」とはお客様が求めているITインフラの設計・構築業務を担当するエンジニアです。
担当フェーズとしては「設計・構築」を担当します。
大規模なプロジェクトでは、各IT領域ごとにプロジェクトリーダーを設ける案件が多いです。
※一般的にはプロジェクトマネージャー配下には領域毎にチームを設ける事が多いです。
例えばネットワークチーム・サーバチーム・保守チームといったようにイメージです。そのチームのリーダーがプロジェクトリーダーに該当します。
また、日本のIT市場においては設計/構築フェーズでは異なる契約体系のエンジニアで協力しながら進める事が多い為、詳細は以下に纏めました。
- 正社員
- 正社員の設計/構築エンジニアはプロジェクトリーダーになる事が多い為、プロジェクト管理能力や下請会社との交渉能力などが必要になります。又、正社員の為収入は安定しやすい傾向がございます。一定の専門技術が必要になります。
- フリーランスエンジニア
- 高い専門技術が必要になります。この3つの中では高給になりやすい傾向がございます。
- 派遣社員
- Sler先へ常駐している為、自社内で正当な評価が受けにくい傾向がございます。また、フリーランスエンジニアと比較すると、高い専門技術は求められない反面給与は低い傾向がございます。
また、設計/構築エンジニアとして必要とされる能力は以下の通りです。
- プロジェクト管理能力(スケジュール管理/課題管理等) ※プロジェクトリーダーは必須
- 高度なコミュニケーション能力(問題解決能力/論理的思考/プレゼンテーション能力/交渉力等) ※プロジェクトリーダーは必須
- 特定のIT領域における深い知識
- 顧客思考
上記のような特徴がある為、将来プロジェクトマネージャになりたいと考えている人は正社員にてプロジェクトリーダーを目指す事をお勧めいたします。
※マネージメント業務がメインになる為、あまり技術力の向上は望めないですが、プロジェクトマネージメント能力を身につける事が可能です。
また、技術を極めたいと思っている人はフリーランスエンジニアが最適です。
【法人向けITエンジニア】④ 保守/運用エンジニア
「保守/運用エンジニア」とはITインフラの構築の保守・運用業務を担当するエンジニアです。
予め決められた手順に沿って正確に作業する能力が求められ、障害発生時はトラブルシューティング能力が求められます。
又、夜勤勤務がある事が多い職種なので、予め理解しておいて方が良いです。
また、保守/運用エンジニアとして必要とされる能力は以下の通りです。
- プロジェクト管理能力(スケジュール管理/課題管理等) ※サービスマネージャーは必須
- 高度なコミュニケーション能力(問題解決能力/論理的思考/プレゼンテーション能力/交渉力等) ※サービスマネージャーは必須
- 顧客思考
- トラブルシューティング能力
上記のような特徴がある為、将来プロジェクトマネージャになりたいと考えている人は正社員にてサービスマネージャーを目指す事をお勧めいたします。※プロジェクトマネージメント能力を身につける事が可能です。
また、技術を極めたいと思っている人はトラブルシューティング経験を多く積む事が出来るポジションへ志願する事をお勧めします。
又、保守/運用フェーズはお客様満足度に直接関わっている為、非常に重要な仕事です。
このフェーズが粗末になってしまうと新規案件の受注に繋がらなかったりするなど機会損失が発生する可能性が高くなります。
【ITエンジニアの種類②】自社ITエンジニア
「自社ITエンジニア」とは自社のITインフラの企画・設計・構築・運用・保守を担当しているエンジニアです。
例えば、自社の拠点間ネットワークやWebアプリケーション基盤、通信事業者であれば自社のインターネットネットワーク基盤やクラウド基盤などが自社のITインフラに該当します。
自社ITサービスを担当する為、長期的な視点でITインフラに関わる事ができる点が最大のメリットです。また、法人向けITエンジニアと比較すると時間的に制約を受けにくくプライベートを充実しやすい傾向がございます。
では、自社ITエンジニアにはどのような職種があるかご紹介いたします。
- 情報システムエンジニア
- 自社 インフラエンジニア
上記①〜④の職種の特徴や必要な能力について、以下にて紹介いたします。
【自社ITエンジニア】① 情報システムエンジニア
「情報システムエンジニア」は自社社員が利用するITシステムの企画・設計・構築・保守・運用業務を担当するITエンジニアです。
ここでいうITシステムは、例えば会計・生産管理・人事システム等の基幹業務システムから、ネットワークシステム、パソコン・スマートフォンの管理、セキュリティ管理など非常に幅広く、一般的には各企業の情報システム部門に該当します。
情報システムエンジニアは法人向けITエンジニアと違い自社のサービスを内部社員という立場で長期的な視点でITシステムに関わる事ができ、経営観点でのIT戦略の立案なども経験する事が出来ます。
ITが活用されている現代では必要不可欠な存在と言って良いでしょう!
また、情報システムエンジニアは以下の能力が必要とされる職種です。
- 自社業界/自社に関する知識(契約・内部派閥など)
- 幅広いITに関する知識
- プロジェクトマネージメントスキル
- 業務効率化・改善スキル
情報システムエンジニアはプロジェクト管理能力を身に付けたい人、経営層へのキャリアアップを目指したい人方には最適な職種です。
反面、技術を極めたいと思っている人や人と話す事が苦手な人は苦労する可能性が高いです。
※特にテクニカル面はSlerへ委託する事が多い為、ベンダーマネージメント能力は必要です。また、各部署間との調整・交渉業務が多くなる傾向がある点は予め理解しておきましょう。
【自社ITエンジニア】② 自社 インフラエンジニア
「自社 インフラエンジニア」は自社社員が利用するITサービス基盤ではなく、他社へ販売/提供する大規模なITサービス基盤の企画・設計・構築・保守・運用業務を担当します。
ここでいうITサービス基盤は、例えばインターネットサービスプロバイダー(ISP)のバックボーンネットワーク、クラウド基盤、自社ソフトウェア(SaaS)などが該当します。
特徴としては非常に技術力の高いITエンジニアが多く、中には社外のITセミナーで登壇するエンジニアや書籍を出しているエンジニアもいる事が特徴です。
また、情報システムエンジニアと比較すると、自分自身で設計・構築を担当(内製化対応)することが多いのが特徴です。
また、自社 インフラエンジニアは以下の能力が必要とされる職種です。
- 自社業界/自社に関する知識(契約・内部派閥など)
- プロジェクト管理能力(スケジュール管理/課題管理等)
- 高度なトラブルシューティング能力
- 特定のIT領域における深い知識
- 新技術への探究心(自己啓発)
自社 インフラエンジニアは技術を極めたいと思っている人には非常に最適な職種です。
反面、職業上あまりエンドユーザーとの直接関わりが少ない為、お客様と関わりながら仕事をしたい人には不向きです。
【ITエンジニアの種類③】メーカ系ITエンジニア
「メーカ系ITエンジニア」は自社製品の提案・設計・構築・保守を担当しているエンジニアです。
昨今は外資系のITメーカー(Google,Amazon,Apple,Cisco等)が多い為、入社するには一定の英語力が必要になるケースが多くなってきております。
メーカーによっては販売代理店やSlerを経由して自社製品を提供する事多い事が特徴です。
外部には公開されていない自社製品の仕様などを踏まえて、提案・設計・構築・保守業務に携わる事ができる為、高い製品の知識・技術を身につける事が最大のメリットです。
では、メーカ系ITエンジニアにはどのような職種があるかご紹介いたします。
- 販売代理店(パートナー)向け ITエンジニア
- 法人向け(プライム) ITエンジニア
- テクニカルサポートエンジニア
上記①〜③の職種の特徴や必要な能力について、以下にて紹介いたします。
【メーカ系ITエンジニア】① 販売代理店(パートナー)向け ITエンジニア
「販売代理店(パートナー)向け ITエンジニア」とは、販売代理店・Sler向けに自社製品の販売推進するエンジニアです。
※ITメーカーは一部重要案件/顧客を除き、販売代理店・Sler・自社子会社を経由して自社製品を提供する事が多い事が特徴です。
具体的な業務内容としては販売代理店へのリレーション構築・新商品のプレゼンテーション・提案/設計/構築/保守運用に関する問い合わせ対応などを担当しているエンジニアが多く、販売代理店・SlerのITエンジニアからの質問を受ける事から高度なIT能力が必要になります。
外資系IT企業の場合は、本国とのやりとり(新規製品に関する情報の把握・トラブル対応)が必要になる為、英語の読み書き能力は必須になる可能性がございます。
また、販売代理店(パートナー)向け ITエンジニアは以下の能力が必要とされる職種です。
- 自社製品/自社に関する知識(契約・内部派閥など)
- 自社製品に関する深い知識
- 英語能力
- 顧客対応能力
販売代理店(パートナー)向け ITエンジニアは「販売促進」がメイン業務であり高い営業能力・ITコンサル能力・自社製品に関する深い知識が求められる職種なので、幅広い知識を身につけたい人にオススメな職種です。
【メーカ系ITエンジニア】② 法人向け(プライム) ITエンジニア
「法人向け(プライム) ITエンジニア」とは、自社製品を用いた法人様向けのITインフラのコンサルティング・提案・設計・構築・運用・保守を担当しているエンジニアです。
主に販売代理店・Slerでは担当出来ない高難易度のITインフラを担当するケースが多いです。
特徴としては、非常に技術力の高いITエンジニアが揃っており、自社製品の細かい機能や仕様を理解しお客様により最適なITインフラを提供する事ができるITエンジニアです。
外資系IT企業の場合は、本国とのやりとり(新規製品に関する情報の把握・トラブル対応)が必要になる為、英語の読み書き能力は必須になる可能性がございます。
また、法人向け(プライム) ITエンジニアは以下の能力が必要とされる職種です。
- 自社業界/自社に関する知識(契約・内部派閥など)
- 自社製品に関する深い知識
- お客様業界に関する知識
- 顧客思考
- プロジェクト管理能力(スケジュール管理/人員管理/課題管理/リスク管理等)
- 資料作成能力
- 高度なコミュニケーション能力(問題解決能力/論理的思考/プレゼンテーション能力/交渉力等)
- トラブルシューティング能力
- 英語能力
法人向け(プライム) ITエンジニアはお客様より非常に高いSE費用で請け負っている為、お客様から「高い費用払っているのだから、何でも分かるよね?」というプレッシャーを受けながら、コンサルティング・提案・設計・構築・運用・保守業務を担当する事になります。
その為、難易度の高いITインフラを担当したいと思っている人、高プレッシャーの中でもやり切れる人には非常に最適な職種です。
【メーカ系ITエンジニア】③ テクニカルサポートエンジニア
「テクニカルサポートエンジニア」とは販売代理店・Sler・自社子会社・法人向け(プライム) ITエンジニアで解決出来なかったトラブルを担当するITエンジニアです。
基本的には販売代理店・Sler・自社子会社・法人向け(プライム) ITエンジニアでは解決出来ないトラブル=ソフトウェアバグや非常に不可解なトラブルが多く、このようなトラブルを日々解決する事が仕事になります。
メーカーのテクニカルサポートはトラブルシュートの最後の砦となる為、非常に高いIT技術力・問題解決能力が必要になります。
また、外資系IT企業の場合は、トラブル対応時に本国のITエンジニアと直接やりとりするケースが多い為、英語での読み書き能力だけではなく、リスニング・スピーキング能力も必須になるケースが多いです。
また、テクニカルサポートエンジニアは以下の能力が必要とされる職種です。
- 自社業界/自社に関する知識(契約・内部派閥など)
- 自社製品に関する非常に深い知識
- スケジュール管理能力 ※複数のトラブル案件を複数担当する事になるため、スケジュール管理・優先度の識別能力が必要になります。
- 高度なコミュニケーション能力(問題解決能力/論理的思考)
- 顧客思考
- 高いトラブルシューティング能力
- 高い英語能力
テクニカルサポートエンジニアは技術を極めたいと思っている人には非常に最適な職種です。反面、職業上あまりエンドユーザーとの直接関わりが少ない為、エンドユーザーと関わりながら仕事をしたい人には不向きかもしれないです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この度はITエンジニアの職種に関する内容を纏めさせて頂きました。
紹介させて頂いた通り、各職種によりそれぞれ求められる能力・技術が大きく異なりますので、
「あなたのやりたい事・得意な事/苦手な事」を踏まえて職種を選択してみてはいかがでしょうか。