LSA Type 7とは? 基礎〜LSDBの中身の確認方法を解説【OSPF】

本記事ではLSA Type7(NSSA外部リンク)の内容やリンクステートデータベースの確認方法について、検証結果を交えながら解説いたします。

LSA Type7(NSSA外部リンク)とは

NSSA外部リンク(NSSA External LSA : LSA Type7)」はLSA Type5と同様に非OSPFのネットワーク情報(ネットワークアドレス・サブネットマスク・メトリックタイプ・コスト値など)を伝搬させる際に使用されます。
異なる点は「LSA Type 7」はNSSAエリアでのみ伝搬される特殊なLSAである事です。

「LSA Type7」はNSSAエリア内のASBR(AS Border Router)で生成され、NSSAエリアのみに伝搬します。


LSA Type7に関するshowコマンド
CiscoルータにおけるLSA Type7に関するshowコマンドは以下の通りです。

  • show ip ospf database」:リンクステートデータベースの一覧を確認
  • show ip ospf database nssa-external」:リンクステートデータベースのLSA Type7の詳細を確認
  • show ip route ospf」:OSPFのルーティングテーブルを確認する
    【補足】LSA Type7で学習した経路は以下の通り「 O N1 」(非OSPF経路:コスト加算型)または、「 O N2 」(非OSPF経路:非コスト加算型)として学習します。
    N1・N2に詳しい知りたい方は、別記事の「N1・N2の違い」をご確認下さい。

LSA Type 7でやりとりされる中身の確認(show ip ospf database nssa-externalを解説)

次に実機から取得したLSA Type 7のリンクステートデータベースを確認しながら、LSA Type 7でやりとりされる内容を紹介いたします。


以下は「show ip ospf database external」コマンドで非OSPF経路「100.100.100.100」の情報を取得しております。
LSA Type 7の各パラメータについてコメント文(黄色文字箇所)で解説しておりますので、気になる点をご確認下さい。

▼ OSPFデータベース情報(Type7) ▼


※本記事の下部「LSA Type 7の検証結果」にてLSA Type7に関する検証結果を纏めておりますので、合わせてご確認頂くことをお勧めします。

LSA Type5の理解度が格段と上がると思います!

LSA Type 7の伝搬範囲

次に以下のネットワーク図をベースにLSA Type7の伝搬について解説いたします。

OSPF-TypeLSA7

上記の図の通り、ASBR(R5)にて非OSPFネットワークの経路をOSPFネットワークへ再配布いたします。
その後、R5が属しているエリアはNSSA(Not-So-Stubby Area)というLSA Type5を流す事が出来ない特殊エリアである為、「LSA Type5の代わりにLSA Type7」を使用してNSSAエリアへ伝搬させます。
そのLSA Type7を受信したASRのR3は「LSA Type7 を LSA Type5」へ変換し、LSA Type5をOSPFネットワークヘ伝搬させる事により、全OSPFルータが非OSPFネットワークの経路情報を把握する事が出来ます。

LSA Type 7の検証結果

ではLSA Type 7に関する検証結果を紹介いたします。
検証ネットワーク上での実機のステータス内容を把握して頂くと、LSA Type 7の理解度が向上します!

検証時の確認ポイント

まず最初に、検証時の確認ポイントを整理しておきます。

▼ 本検証の確認ポイント ▼

  1. R5(ASBR)でのLSA Type7の生成・LSA内容把握
  2. R3(ASR)でのLSA Type7からLSA Type5への変換
  3. LSA Type7の伝搬範囲

検証ネットワーク

では次に検証ネットワークを紹介いたします。

LSA検証ネットワーク

※本検証ネットワークは既に設定済みです。

【参考】検証ネットワーク情報 ※興味ない方は飛ばしてOKです。

本検証ネットワークのOSPFステータスを以下に纏めております。
興味のある方はご覧下さい。

・「show ip ospf interface brief」コマンドで各OSPFインターフェース情報を出力しております。

・「show ip ospf neighbor」コマンドでネイバー状態を出力しております。
以下の通り、全ルータ間でOSPFネイバーが確立出来ている事が確認できると思います。

正常性確認

では以下の3点について確認してみましょう!

▼ 本検証の確認ポイント ▼

  1. R5(ASBR)でのLSA Type7の生成・LSA内容把握
  2. R3(ASR)でのLSA Type7からLSA Type5への変換
  3. LSA Type7の伝搬範囲

【確認ポイント①】R5(ASBR)でのLSA Type7の生成・LSA内容把握

まずは以下にてR5のOSPFデータベース「show ip ospf database」「show ip ospf database nssa-external 100.100.100.100」を出力しております。



▼ R5のOSPFデータベース情報 ▼

▼ R5のOSPFデータベース情報(type7) ▼


showコマンドの出力結果の通り、
R5(ASBR)にて非OSPF経路(100.100.100.100/32)のLSA-Type 7を生成している事が分かります。

【確認ポイント②】R3(ASR)でのLSA Type7からLSA Type5への変換

ここではR5が生成しているLSA Type7がR3(ABR)でどのようにLSA Type5へ変換されるか、順を追って確認します。


まずは以下にてR3のOSPFデータベースを「show ip ospf database」で出力しております。
以下の通り、R5からLSA type7を受信している事が確認出来ます。



▼ R3のOSPFデータベース情報(エリア2) ▼


次にR3(ABR)でLSA Type7をどのようにLSA Type5へ変換されるか、確認します。
以下にてR3のOSPFデータベースを「show ip ospf database」で出力しております。
R3でR5(ASBR)より受領したLSA type7をLSA type5へ変換し反映されている事を確認しましょう!



▼ R3のOSPFデータベース情報 ▼


では上記のLSAの詳細を確認してみましょう。


以下にてR3のOSPFデータベースを「show ip ospf database nssa-external 100.100.100.100」「show ip ospf database external 100.100.100.100」で出力しております。

▼ R3のOSPFデータベース情報(type7) ▼

▼ R3のOSPFデータベース情報(type5) ▼


showコマンドの出力結果の通り、
LSA Type7とLSA Type5は同じフォーマットでやり取りしております。
また、LSA Type7のパラメータは上記の一部(OptionsやAdvertising Routerを除き)、LSA Type5へコピーされている事が分かります。

【確認ポイント③】LSA Type7の伝搬範囲

上記の検証結果よりR3(ABR)でLSA Type7を受信し、LSA Type5へ変換しているのは分かって頂いたと思います。
ではR3(ABR)で生成したLSA Type5がR1→R2→R4に伝搬されるか、確認いたします。

以下の通り、「show ip ospf database」の結果より、R1・R2・R4ではLSA Type7ではなく、LSA Type5を受信している事が確認出来ます。

▼ R1のOSPFデータベース情報 ▼

▼ R2のOSPFデータベース情報 ▼

▼ R4のOSPFデータベース情報 ▼



次に「show ip route | include O E」にて非OSPF経路(100.100.100.100)がルーティングテーブルへ反映されている事を確認します。



▼ R1のOSPFデータベース情報 ▼

▼ R2のOSPFデータベース情報 ▼

▼ R4のOSPFデータベース情報 ▼


上記の結果の通り、R1・R2・R3・R4で非OSPF経路(100.100.100.100)がルーティングテーブルへ反映されている事が分かります。

【補足】メトリックタイプ 2 (N2 : 非コスト加算型)について

本検証ネットワークのR5(ASBR)では非OSPFネットワークの経路をOSPFへ再配布する際、コスト非加算型(メトリックタイプ2)で設定しております。



▼ R5(ASBR)の設定情報 ▼


その為、R1・R2・R4で非OSPF経路(100.100.100.100)を受信しても、メトリック加算は実施されません。
「show ip ospf database external」のMetric値の値をそのままルーティングテーブルへ反映します。

▼ メトリックタイプ 2のコスト計算 ▼
OSPF-Metric-type2

▼ メトリックタイプ 1・2に関してご興味がある方はこちら! ▼

*現在作成中

まとめ


最後までお読み頂きありがとうございました。
LSA Type7は非常に分かりにくい部分もありますが、理解しておくとトラブルシューティング時に役立ちます。ぜひ覚えておきましょう!


網羅的にOSPFの知識を身につけたい方は、以下のまとめ記事をご確認ください!!

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